出会い系サイト【PCMAX】日記より抜粋

（♂ 57歳 東京都）

【所謂、ナンパに就ひて。】

ナンパか。。


私は如何なる状況に至っても、所謂ナンパ行為はしなひ事にしてゐる。


でもだからといって、別にナンパする男達を彼是いふ積もりはない。此れは夲當である。


正直、おおく出會ひ系ｻｲﾄ等のﾊﾞｰﾁｬﾙで真偽が極めて怪しげな情報すらも仕方無く頼りにしなければならぬくらひに、世の中の一定数の女性達の満たされない欲求が彼女達を苦しめてゐるのならば、


夜の街中に集ふ、同様の欲求をまた切實に具有する男達との間で、少なくとも相手を視認しながら、更に一通りの双方を正しく値踏みするﾘｱﾙなやり取りと駆引きの上に一定の合意に至るのならば


寧ろ、街頭やらﾊﾞｰやらでのナンパで、仮に一夜の遊びにせよ、自己の責任に於て男女が肉の歓びを交わしあふのは、多分だが望ましひ事なのかも知れぬ。


筆者にも勿論肉欲は在るから、かうした男女の切實な出會ひを行き付けの深夜帯のﾊﾞｰ･ｶｳﾝﾀｰ等で目の当たりにすると


やはり、切實に羨ましく思ふし、同時に男女ともの さうしたあからさまに我慢できぬ切な欲求を持ち寄る営みは、如何にも微笑ましく。

最近では、歳のせいか つひ心中で街の夜闇に密やかにいそいそと消え往く、男女の凭れあひ手を繋ぎ歩み去る後ろ姿に、密かに私は、ｴｰﾙすら送贈るやうに為った。


然し。だからといって矢張、私は所謂ナンパをする積もりも、また無ひのが正直な處であらうか。




私が、自己の肉欲を自覚しながら尚も、所謂ナンパをしなひ決意を固めてゐるのは何故か。


其れは、さうした自己の肉欲を、切なる欲求として 知己もない初対面の女性に対して、暗黙のうちに其の欲求の「相手をして欲しい」といふ意思表示を、自らがなりふり構はず呈示することは。


やはりどのやうに考へても、自己の概念する「私の本來的な在りやう」に抵触する氣がして為らないからである。




此のことは我乍ら、全く愚劣な自己像への或ひは無用なる拘りであり、また必境、臆病な雄性に過ぎぬだらしなき自己への合理化の為の方便ですら在るのかも知れぬ。



だから私は努々。

《男子たるもの徒に女子に接近して淫靡な誘惑の言動をしてはならぬ》などと、凡そ一介の生物に過ぎぬ性的存在に他ならぬ、此の世の中の男女の 夲來的な在り方に就ひての空疎為る綺麗事をいふ積もりなど、毛頭在りはしないのである。




ただ、もし私がかような此の世の男女のせめぎあふ渇きと貪りとエゴのぶつかり合ひ(其れは少しも非難する性質の事柄ではなひ)の中に在って、


やはり自らも紛れもなき其の枯渇者の一員であると明確に自覚しながらもなお。

私にとっては。。そのやうな、ひた自己の純粋なるｴｺﾞに自己の思考と行動を一時的にせよ従属させる行為は


やはり如何にも「私らしく無く」思へてならず、さうした事に或ひは慣れて往くといった、自己の心的實存の中に發生するに違ひなき「かろみ」の形成もまた、


常日頃から、私の希求し殉じようとする私の私を超越する厳かなる「価値」に対して、


私がまさに自己を超克して遂には自己滅却の険しき過程を踏んだ先に、其の大義に自己を捧げなければならぬ心積もりと無垢なる純真な決意の妨げに為るであらうことが、


なんと無く、然し確かに予見されるからである。





いやはや。「武士は喰わねど高楊枝」を地で往くのは。。正直、我乍ら如何にも貧乏くじのやうにも思はれるが。。


他に生きる術も。。また無ひのが正直な處であるか。。









卍(やりたいんだよね(´ﾉω；`)💦)




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